建設国保と市町村国保は何が違うの?

職域国保という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ここでは、その中でも当支部へ問い合わせの多い建設国保と市町村国保の違いについてわかりやすく解説したいと思います。この記事を読んでいただくことで、ご自身がどちらの国民健康保険へ加入するべきか選択基準になれば幸いです。

国民健康保険とは

国民健康保険は『職域国保』と『市町村国保』の大きく分けて2つに分類されます。

職域国保

職域国保とは、国民健康保険法に基づいて運営され、医師・弁護士・土木建築業者・理美容師など地域の同業者が設立する国民健康保険組合が行う組合国保です。

市町村国保

市町村国保とは、国民健康保険組合や職域保険に加入していない個人を対象として市町村・特別区が行う市町村国保です。

次に、双方の保険料の仕組みについて下記表で説明していきます。

『建設国保』と『市町村国保』の保険料比較

例:世帯主43歳・配偶者40歳・第一子16歳・第二子13歳・祖父71歳・祖母68歳 年間世帯総所得500万円(控除後の総所得)

建設国民健康保険(参考) 国民健康保険(参考:さいたま市)
医療分:417,600円/年 医療分:527,700円/年
支援分:94,800円/年 支援分:149,500円/年
介護分:52,800円/年 介護分:113,700円/年
417,600円+94,800円+52,800円 527,700円+149,500円+113,700円
年間保険料:565,200円 年間合計保険料:790,900円

※上記表はあくまで、参考値であり、実際は若干金額が違う場合があります。
結果、差額は225,700となり、建設国民健康保険のほうが安い結果となりました。
こんなに大きな金額の差が出るんですね!
でも、なぜそんなに違いがでるのでしょうか?

実は、保険料の算出の仕方に大きな違いがあるからです!!

市町村国保は前年度(1月から12月末日)の総所得から給与所得控除・基礎控除等を差し引いた所得を基礎として所得割、均等割を計算した合計金額になるのに対して、建設国保(職域国保)は所得連動がなく、業態と年齢・家族数によって決まります。

建設国保はある一定の所得以上になると市町村国保に比べてかなり安くなるんです!

更に、建設国保は特定の業種、すなわち建設業を営む建設業一人親方・個人事業主が組合員となるため、皆さん現役で収入を得ている人たちで組織しているため、収支のバランスが良好です。

そのため、ある一定の所得を得ている方は、建設国保(職域国保)を検討してみる価値は十分あると思われますよ。

保障内容は同じなの!?

『建設国保のほうが保険料が安いのは分かったけど、保障内容が薄いんじゃないの?』
そう思われる方も多いと思います。
そこで、双方の保障内容について下記表にて比較してみます。

  建設国保 市町村国保
加入対象者 建設業を営む一人親方等 自営業、専業主婦など
治療費の自己負担 義務教育就学前…2割

義務教育就学以降70歳未満…3割

70歳~74歳…2割 ※1

義務教育就学前…2割

義務教育就学以降70歳未満…3割

70歳以上…2割

高額療養費※2 医療費の1ヵ月の窓口負担が自己負担限度額を超えたときは、申請によりその超えた額が払い戻されます 医療費の1ヵ月の窓口負担が自己負担限度額を超えたときは、申請によりその超えた額が払い戻されます
出産育児一時金 原則42万円 原則42万円
傷病手当金 1日につき4,500円 なし
出産手当金 1日につき4,500円 なし
死亡時(葬祭費) 組合員10万円、家族7万円 3万~7万(各自治体により異なる)

※1 現役並み所得者は3割 75歳以上の方は、広域連合(後期高齢者医療制度)に移るため、その制度に準じます。
※2 高額療養費制度については、現在ご加入の健康保険組合または協会にお問合せください。

まとめ

今回は、建設国保(職域国保)と市町村国保の保険料や保障内容の比較をしてみました。職域国保の保険料は年齢や家族構成で決定され、市町村国保は前年度の所得に連動します。

また、保障のされる内容も基本的に同じだということもおわかりいただけたのではないでしょうか。

結論、ご自身の前年度の所得額にもよりますが、せっかく建設業として従事されている場合は、同じ仲間で構成される建設国保への加入するメリットはあるのではないでしょうか。

現在、どちらの国保に加入したらいいのか悩んでいる方やこれから建設業としてお仕事される方のお役に立てれば幸いです。

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